日本経済新聞は、’07年3月29日の記事で、トヨタがパソコンの基本ソフト(OS)に相当する自動車車載用の標準ソフトウエアを独自開発する、と報じている。
予てトヨタさんは、電気/電子技術の独自開発に取り組んできていると思う。ハイブリット車の成功は、それなくしてはありえなかっただろう。
「電気/電子の技術は、専門メーカーから買った方がコストを下げられるのでは?」
と思われる方もおありだろう。素人の私も最初はそう思った。
しかし....(追記に続く)
最近の自動車技術や将来の自動車技術の報道を見ると、近い将来、OSやエンジン制御用の電子制御ユニット(ECU)は、自動車メーカー技術の要であるエンジン技術と並ぶくらいに重要な部品になっていくと思う。
その一端を示す発表が、すでにホンダさんよりなされている。
’03年10月3日のプレスリリースをご覧頂きたい。より精密な電子制御技術を適応することで、スクーターでも環境性能を向上させることが出来ている。これを読めば、電子制御技術がいかに環境対策に役に立つかお分かりでしょう。
最近の報道では、プリクラッシュセンサーやX−by−Wireなど、新しい自動車用電気/電子技術のニュースが目白押しだ。自動車メーカーさんにとって、こういった技術開発ももちろん重要だろうが、こういったエンジンやハイブリッドユニット技術など、自動車の心臓部以外の部品における電気/電子技術は、デンソーさん、アイシンさん、ケーヒンさん、日立製作所さん、ショーワさん、カヤバさんなど、大手部品メーカーさんに任せることになるのではないだろうか。
自動車メーカーが、電子/電気の技術を、当面本当に生かしたいのは、やはり、自動車の生命線となるパワーユニットの精密制御だろう。ホンダさんがすでに2輪で実証しているように、エンジンの素材や仕様を大幅に変更しなくても、電気・電子制御技術を高めることで、排ガスをよりキレイにする効果をも実現できるのである。より性能を上げたエンジンに、より高性能な電子制御技術を加えられれば、その効果を、2倍、3倍にすることも夢ではないのではないか?
したがって、もし将来、より厳密なパワーユニット制御のために必要な高性能なOSやECUを、自動車メーカーさん以外のメーカーが供給したら、いったいどうなうだろうか?それは、エンジンと同じくらいに重要な技術を、自動車メーカーさん以外の製造メーカーが握ることになる。今や、世界の自動車技術の最先端を行っている日本の各自動車メーカーさんにとっては、まさに死活問題であると想像する。
実際に、各メディアで報道されている通り、マイクロソフトなど既存のITプロフェッショナルは、自動車業界のニーズに非常に高い関心を示している。ここへきて、トヨタさんがOSの独自開発に真剣に取り組もうとしているのは、将来の自動車技術の中で最も重要なブラックボックスになるかもしれない技術を守るために、先手を打とうとしているのではないだろうか?
もっとも、トヨタさんのように十分にキャッシュフローを確保できていない自動車メーカーさんの中には、非常に莫大な資金が必要な電子/電気技術分野へ単独で投資することは、大きなリスクを伴うということで、躊躇されているケースもあると思う。このようなメーカーさんにとっては、少なくともITのプロフェッショナルと合弁会社などを設立するなどして、投資を少しでも抑えながら、OSやECUの全てをITプロフェッショナルにコントロールされないようにしていく必要があると思う。
自動車業界株式動向を追いかけている方や、すでにお持ちの方にとっては、自動車の電子制御技術を各自動車メーカーがどの程度重視しているかという点は、今後もウォッチングしていく必要があると思います。
自動車業界への就職/転職をお考えになられている皆さんにとっては、たとえ自分自身が電気/電子分野の仕事に携わることがなくても、自分が入りたいと思っている会社が、パワーユニットの技術と合わせて、どの程度電子制御技術を重視しているか、一度調べてみることをお勧めする。
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