すでに多くのメディアが今年中に年間販売台数で世界一になる可能性が高いことを報じていたので、驚く人はそれほど多くはないだろう。
このニュースを私が聞いたのは、名古屋滞在中であったし、実際今日は、TOYOTAさんの技術者の方にもお会いした。
「色々なメディアが報じていますね」
と、お祝いの意味を込めて言ってみたが、世界一になることが目的ではないと、日常業務を淡々とこなしておられる様子。予測どおりの反応だった。
アメリカのメディアが、
「トヨタは、お客が求める車を作っている。アメリカ勢は、旧態依然とした車作りを続けている」
という主旨のコメントを出していたのが印象的だった。
トヨタさんのニーズ重視の姿勢を、トヨタさんにトップの座を奪われたGMさんのお膝元であるアメリカのメディアが、高く評価しているように聞こえた。
トヨタさんと同じように、客先重視の姿勢を貫く経営者がいる会社が、他にもある。この日本にである...... 日経をお読みになっておられる方々の中には、「私の履歴書」を楽しみにしている読者も多かろう。最近の連載では、セブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文さんがペンを執っておられる。
日本でコンビニという商業形態を定着させた鈴木さんの経営のやり方は、アメリカの有名なビジネス・スクールのケース・スタディでも取り上げられていると聞く。
鈴木さんが基本としているのは、
*お客様のニーズに確実に捉える。
*ニーズに完璧に応え切るまで、諦めずに何度でも挑戦する。
*常識に囚われない。
*常識や既存概念に固執する反対者を、粘り強く説得し続ける
という点だと思う。
セブンイレブン、トヨタ、キャノン、日東電工など、世界的に技術を認められ、日本が世界に誇る企業は、上記の鈴木さんの基本精神を皆共通して持っていると思う。彼らは、常に顧客のニーズ、時代会ったニーズ、将来おそらく求められるであろうニーズをにらみながら、失敗を恐れず、一見すると非常識と思えることにも、先入観を振り払って、取り組んできている。
10年前、”コンビニのお弁当”と聞いて、「安全」、「本当に美味しい」と思う人は何人いただろう。
コンビニのお弁当の品質向上、味の向上のため、素材一つ一つに真剣に取り組んでいた鈴木さんの考え方は、当然それを求めるお客様のニーズがあったからだと理解している。
本日の「私の履歴書」の中で、鈴木さんが語っておられる「強いニーズがある以上、きっと成り立つ」という言葉が非常に心に強く響いている。鈴木さんは、この基本姿勢を、すべての商品作りや商業形態の創出において、根幹を成す基本理念としておられるように思う。
トヨタさんにも、相通じるものがある。今や世界企業となったトヨタさんは、世界の各地域のニーズを的確にとらえ、そのニーズに合った車の開発を、高い品質と両立させながら、具現化する取り組みを、今も続けている。目先の業績が悪かったり、膨大な開発コストがかかると、基本方針を簡単に曲げる経営者も多い中、「ニーズへの対応と品質の維持」という基本を、これからも保つことができるのであれば、トヨタさんの安定した成長は、ここしばらく続くことになろう。
製造業に属する会社の株を、長期間保有したいという方々にとっては、上記の基本理念を、購入対象としている会社がしっかりと持っているか、経営者がニーズと品質に対する飽くなき探求を行う姿勢を持っているかどうか判断することは、重要なポイントだと思います。
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