高級車のポルシェさんが、文字通り大衆車の色合いが強いフォルクスワーゲン(VW)さんを傘下におさめる時が来たようだ。どこかで似たようなケースを聞いたことがあるなと、思う方も多かろう。
VWさんにとってはいいこと尽くめなのではないだろうか。元々、この2社の源流は同じところにある。初代ビートルを設計したのは、あのフェルディナンド・ポルシェ博士であるし、現在、VWの監査役会長を務めるは、その博士の孫、フェルディナント・ピエヒ氏だ。
今回、2社歩みよったのは、VWさんがドイツ以外の自動車メーカーからの敵対的買収を受けるのを阻止するのが主たる目的のようだ。
国営企業として長い歴史を有するVWさんは、いままでドイツの法律で手厚く保護されてきた。ドイツの国内法で、大口の株主の議決権が、20%までに制限されていた。しかし、この法律に対するEU各国の批判は強く、欧州司法裁判所が、’07年内に、この法律を違法とする可能性が高い。よって、買収防衛策が必要となっていたVWさんにとって、同国の高級ブランドであるポルシェさんがTOBを行ってくれるのであれば、ある意味渡りに船だ。
ポルシェさんのTOBがうまくいって、VWさん本拠地の州政府が保有する株式と合計した保有比率が50%を超えるレベルに達すれば、ドイツ以外のメーカーから買収される可能性は、極めて低くなる。
しかし、ポルシェさんにとっては、VWさんを傘下に治めた後の課題が山積みだろう......
まず、ポルシェさんにとっての最大の課題は、VWさんの品質改善になるのではないだろうか。
’07年4月22日の投稿でもリポートしたが、VWさんの最近の業績が回復したとはいえ、成長路線を描くための課題は多い。その数多い課題の中で、ポルシェ陣営が一番神経をピリピリさせているのは、リコールの削減ではないか。
例えば、数年前、アメリカの大手自動車コンサルティング企業が行った北米の自動車保有者へのアンケート調査の結果を報道する記事があったのだが、その時、一番不具合が少ないとされたのがポルシェだ。一方で、VWさんは日本勢よりも劣勢となる結果であったと記憶している。
私個人のポルシェさんへのイメージは「頑固一徹」だ。日本のアイシン精機さんが、ポルシェさん向けに、マニュアルトランス・ミッション(MT)の納入を始めて成功させたのは、2004年。その初納入を実現させるまでに掛かった道のりは、決して平坦ではなく、長い年月を費やし、何度も改良に改良を重ねて、ポルシェの厳しい技術要求に答えるに至ったという特集記事を、かつて読んだ記憶がある。
ポルシェさんは、品質の高さが最大の付加価値になることをよく知っている会社だと思う。品質の向上と不良の削減は、高級車でも大衆車でも、共通した最大かつ永遠の課題である。ポルシェさんのブランドを維持するためにも、最重要課題であると個人的に思う。
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